医療法人社団 杏佑会 笠井病院 久保 尾道市 内科、消化器科、外科、整形外科、肛門科、リハビリテーション科

コラム

第一回 ピロリ菌ってどんなばい菌?

  ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の中に生息している細菌で、自らアンモニアを出して、強力な胃酸を中和しながら、しぶとく生きている凄いバイ菌です。
日本人の50歳以上の80%が感染しており、日本全体で6000万人感染者がいるといわれています。
しかし、その感染経路はまだ謎に包まれています。井戸水や母子感染、衛生環境が関係しているのでは?と考えられていますが、まだ特定されていません。
胃・十二指腸潰瘍を惹き起こす原因の一つとして注目されており、除菌療法(菌を抗生剤などでやっつける治療)を行うことにより、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発率が激減することが知られています。
また、胃癌との関連が取りざたされており、除菌が成功したら、がんの発生が抑えられたり、再発率が低くなったとする報告が増えてきています。
また、ピロリ菌による、萎縮性胃炎が、癌の下地になるという説が有力視されています。
ピロリ菌の専門家たちは、若年者のピロリ菌感染者を探し出し、除菌することにより、日本中の胃癌を撲滅しよう!と考えています。
胃潰瘍や胃癌は、感染症だ!という考えは、嘘のような本当の話?になりかけています。
ピロリ菌の検査方法は、血液、尿、便、呼気などから抗体等を間接的に調べる方法と、胃カメラを行って、粘膜を採取し、顕微鏡で見たり培養したりして、直接証明する方法があります。
除菌方法は、強力に酸を抑える胃薬と2種類の抗生剤を1週間服用することにより、70~80%やっつけることができます。
最近は、抗生剤に耐性を有する菌も増えてきて、無効例もあることから、2次除菌、3次除菌などの方法が考案され、ほぼ100%成功するようです。
副作用は、1~2割程度で、軟便、下痢など軽微なものが多く、整腸剤の服用で予防でき、中止すればすぐに正常に戻ります。
今、もっともホットな話題としては、この2月から、ピロリ菌関連の胃炎に対しても保険適応が認められ、除菌療法がどんどん行われていくと思われます。
今後、ますます日本の胃癌は減ってくることが期待されます。
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